ほんとの笑顔が見たかったんだ
最後に
車に乗り込み、寂しくなって泣きそうになっていた。

学校の退学手続きも済んだし、少なめだけど荷物ももう持ってきたし…もうこれで大丈夫。

の、はずなんだけど…心はどうしてもまだ少しモヤモヤしてる。

家族とは学校の退学の件とかで少しは話したけど、事務的で淡々と終わっていた。

お母さんとも、ほとんど話さないまま家を出たし。

「何かまだやり残した事とかあるんなら、りゅう君の思ってるとこに寄るよ?」

ソワソワする俺の様子を察したのか、俺がこれからお世話になる、楓さんの友達…日山さんが運転しながら問いかけてきた。

「い、いや…大丈夫です」

「これから暮らすとこは遠いからさ、なかなか帰って来れないよ?楓からは聞いてる。りゅう君、ほんとに辛い事、色々あったんでしょ?色々あって、家を出て、頑張って生きていこうって決めたんでしょ?だったらさ、もし会いたい人とかいるんだったら、ちゃんとお別れして新しく頑張っていこうよね!」

俺はそれに、こくりとうなずいた。

そうだよね…もう、なかなか帰って来れないんだったら…。

「ありがとうございます…じゃ…2カ所…寄ってほしいとこがあるんですけど…いいですか?」

気は遣うけど、わがままだとは分かってるけど、やっぱりちゃんとお別れしたい。

何言われても、受け入れるから…。

「了解!どこかな?」

そう日山さんが優しく聞いてくれたから、俺は…実家と…そして…ハルのお墓に寄ってもらう事にした。
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