ほんとの笑顔が見たかったんだ
静かな霊園。

市坂家のお墓。

ハルはそこに眠っている。

墓石に手を合わせる。

俺の隣で、日山さんも手を合わせてくれている。

墓石に向かい、俺はあの頃のようにハルに話しかけた。

「ハル…あの時はほんとに…ごめんな。俺、ほんと馬鹿だよね。天気予報見とけば良かったね…」

当時の事を思い出すとやっぱり辛くなる。

だけど、ハルに伝えなきゃ。

「ごめん…。そして…こんな俺の事、ずっと気にかけてくれてほんとありがとう。ハル…俺、ハルに対する後悔は消えないと思う。でも、俺頑張ってハルの分まで生きるから。俺、頑張るから」

そして俺は、もう一度手を合わせた。





「ハルちゃん…ずっとりゅう君の事見守ってくれるよ。」

車に乗り、シートベルトを閉めると、日山さんはそう言って微笑んでくれた。

これから、俺、ちゃんとやっていけるのか不安だけど、ハルが見守ってくれていると信じて…生きていくから。

段々遠くなる霊園を一度振り返って見た。

ハル…。

またね…………。
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