ほんとの笑顔が見たかったんだ
~10年後~

大切な人

「大野先生!明日の結婚式の写真、私達にも見せてね!」

「ちょっとー!大野先生じゃなくて、今は植原先生だよー!」

「あ!ほんとだ!植原先生だ!ね、植原先生!明日の結婚式の写真、私達にも見せてねー!」

ホームルームが終わると、私の元に女の子の生徒が数人駆け寄ってきた。

「えー…恥ずかしいなー」

「いいじゃーん!ね、旦那さんの顔も見せてね!」

「良い写真が撮れたらね」

「ダメ!どんな写真でも良いから、植原先生の旦那さん見たいの!絶対だよ?」

「はいはい、分かったから。それよりみんな部活でしょ?遅れちゃダメだから早く行かないと!」

照れくさくなって、私は照れ隠しをするかのように、生徒達をわざとらしく急かす。

生徒達は“あ、ほんとだ!やば!”とか、口々に言って、私に挨拶をして慌てて教室を後にした。

その後私は、職員室で残ってる仕事を済ませ、学校を出た。


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