ほんとの笑顔が見たかったんだ
「ソラ、どうしたの?」

ママに言われた"イケメン"と言う言葉に照れて顔を赤くするソラにたずねた。

「あのさ、龍星と三人で花火しねぇ?」

「あれ?龍星君、実家に帰ったんじゃなかったっけ?」

「一昨日からまた俺ん家泊まってる」

龍星君、こっちに来てたんだ。

トークモードで教えてくれたら良かったのに。

ま、色々と忙しかったのかな。

「飯食ってからでも良いし。俺ら適当に待ってるから」

まだ途中の宿題の事が少し気になる。

でもこうやって、ソラがわざわざうちまで誘いに来てくれたんだしね。

それに、久しぶりに龍星君にも会えるし。

「うん!ごはん食べたらすぐ行くよ!」

こう言うしかないよね!

それにママだって、

「たまには息抜きも大事よ」

って言ってくれてるわけだし!

夏休みに入ってから夏らしい事まだなにもしていないから嬉しい!

「じゃ、また後で」

「うん!またね!」

玄関のドアを閉めようとするソラに軽く手を振った。

だけどここで、私は気づいた。

「あれ?ソラ、なんで私が今晩ごはん食べてた事知ってるの?」

私はそう言うと、ソラは珍しく笑って私の顔を指差した。

「じゅな、口に米粒付いてんぞ」

だからか!!!!

「じゃあまた後で!!ソラ、誘ってくれてありがとう!!」

恥ずかしくなって、ソラの顔を見ずに、台所へ駆け戻った。

玄関ではしばらくママとソラの笑い声が聞こえていた…。
< 21 / 169 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop