ほんとの笑顔が見たかったんだ
龍星君の事はずっと気になってはいたものの、時間が経つと、私は自然に笑っていた。
久しぶりに見たトンボ花火にびっくりして、ソラが尻もちをついたのを見て、私は龍星君と大笑いした。
ソラもそんな自分についつい笑っていた。
ネズミ花火の時は、三人で大はしゃぎしたし、置き型花火は見とれてしまう位きれいだった。
そして、最後は線香花火。
小さく光るそれを見て、龍星君は言ったんだ。
「なんか切ないね…線香花火って。光っているのはほんの少しの時間だけ。落ちたらもう光らないんだ。もう…真っ暗」
そう言う彼の目は、どこか遠くを見ているように見えた。
だけど、すぐにまたいつものように彼は笑った。
「って…何言ってんだろ俺!詩人か!って感じだよね!」
切なさを必死に隠しているように見えた。