ほんとの笑顔が見たかったんだ
久しぶりに入るソラの部屋。

シンプルな白い壁に黒の床。

部屋の端のベッドには脱ぎっぱなしの洋服。

部屋の真ん中にある小さなテーブルには二人分の教科書やノートが開けたまんまになっていて、床にはゲームのソフトや漫画が散乱している。

「もう…だらしないんだから…」

思わずタメ息が出た。

「何突っ立ってんだよ。適当に座ればいいのに」

部屋の光景に唖然として、ドアを開けたところで立ち尽くしていると、後ろからソラに話しかけられた。

ソラは手に缶ジュースを三本持っている。

「これ」

その中の一本を私にくれた。

「ありがとう」

「まぁ適当に座って」

正直どこに座ったらいいのか分からないくらい、部屋が散らかっている。

でも、別に私はソラの母親でもないし、とやかく言う権利はないし…。

「おじゃまします」

とりあえず、ベッドの空いているスペースに座ることにした。

ソラは、床に散らばっている漫画をどけて座った。

そして、持っていた缶ジュースのフタを開けた。

私もソラと同じようにして、一口だけ飲んだ。

「あのさ…龍星君の事なんだけどさ…」

そして、私は気になっていた事を、ソラに話すことにした。
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