ほんとの笑顔が見たかったんだ
小さな公園を通りすぎると私の家はすぐそこ。

公園のベンチは大きな木の下にあって、木陰で涼しいだろうなー。

と、思いながら公園のベンチを見た。

あれ?ベンチに座ってるのって…。

「ソラ?」

なんの疑いもなしに、私はベンチに座る彼に駆け寄った。

「じゅなじゃん。久々だな」

振り向いた彼はやっぱりソラだった。

後ろ姿で分かっちゃう私って…。

「ほんと、久々だね!」

"横座って良い?"

なんて事は聞かずに、当たり前のようにソラの隣に座った。

ワックスで無造作にセットされた黒髪に、黒のフチメガネ。

ソラ、少し大人っぽくなったね。

「学校、楽しい?」

「まぁな」

「ソラ、なんかカッコよくなったね!もしかして彼女いるの?」

「恥ずかしい事言うなや…。彼女?いねぇよ。俺の学校、男子校だし出会いねぇし。…じゅなは彼氏…いるの?」

「さてここでクイズ!樹菜に彼氏はいるか、いないか!どっちでしょうか?」

「あー…いないんだ。あのさ、彼氏いるやつはそんなクイズ出さねぇから」

「ちょっとー!もっとクイズ番組みたいにドキドキする感じで答えてよー!」

「んな恥ずかしい事しねぇし!で、彼氏いないんだろ?」

「はいはい、正解ですー」

「もっとクイズ番組みたいに"正解!"って言えや」

「じゃあソラもクイズ番組みたいに答えてよ!」

久しぶりだ。

ソラと話すこの感じ。

嬉しいな。
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