ほんとの笑顔が見たかったんだ
只今携帯電話に表示されている時刻は9時13分…9時17分の電車に乗れれば、ギリギリ間に合う。

走れ!走るんだ私!!

いつもの公園を通りすぎ、そのまま真っ直ぐ走れば駅だ。


駅が見えてきた。

ちょうど交差点の信号は青色だ。

行ける!!

でももう…息が切れそう…。

「間に合って…」

それは、祈るように呟き、交差点を渡りきった時だった…。

足がもつれ、私は宙を舞った。

気づいた頃にはもう遅く…私は太陽の熱を目一杯浴びたコンクリートに体を叩きつけられていた。
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