ほんとの笑顔が見たかったんだ



"祭りに誘っちゃえ作戦"

ルリカが立てた次の計画。

かなりベタだけど、"ベタが良いのよ!"と、ルリカは強く言ったから…この計画に決まった。

しかも"絶対に浴衣で!"だって。

浴衣はあるけど…龍星君…お祭り好きなのかな…。

それに、二人きりも良いけど…行くんだったらソラもいてほしいなとも思うし…。

「樹菜、どうしたの?ボーッとして。」

晩ごはん中、器を持ったままつい考え込んでしまっていた。

ママに話しかけられてハッと我にかえる。

「いや、な、なんでもないよ!」

「そう?」

「う、うん!」

ごまかすように、私は大袈裟にそうめんをすすった。

私は、ママにはなんでも話すようにしている。

この間学校に行けなかった日も、ママが仕事から帰って来てすぐに話した。

ママは怒らず、むしろ、"大怪我しなくて良かったわ"と、言ってくれた。

ちなみにあの日、学校では出欠確認はなかったみたいで、結果的に私は欠席にはならなかったと、あの後、グループのトークモードで知ったんだよね…。

良かったよ…。

その日あった事はママに話すようにしているから、ママは龍星君の事も大体は知っている。

見た目はヤンキーみたいだけど、中身は全然違って、とても優しいという事や、傷の手当てをしてくれた事も話してある。

ただ…煙草の事は言っていない…。

後、私が彼に恋をしたということも…。

「樹菜、龍星君の事なんだけど…」

そうめんをズルズルすすっていると、ママはいきなりそう切り出した。

思わず、そうめんを口から吹き出しそうになった。
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