ほんとの笑顔が見たかったんだ
「俺はソラ一筋だからな!嬉しいだろ?」

「なんでお前ってたまにそういう気持ち悪い事言うかなー」

「や、マジマジ。マジでソラ一筋だから俺!」

「やめろって。本気で気持ち悪いから!」

龍星は俺をからかってずっと笑っている。

ったく…“ソラ一筋”とか変な事言うなや…。

「あー笑った笑った…。ちょっと煙草吸ってくるわ!」

ライターと煙草の箱を持って、龍星は部屋から出て行った。



一人きりの部屋。

冷静になってから、俺は思った。

龍星…なんで急にあんな事聞いたんだろ?

特に意味はないのか?

それか…もしかして…本気でじゅなの事が好きだったりして…。

「んなわけねぇか…」

ボソッと呟いた。

そのまま、床に寝転んだ。


だけどもし、あいつがじゅなの事を好きになっても、俺には止める権利なんてねぇよな。

好きって気持ちは…誰かが止めようとしても無理だ。

だって自分でも止められないんだし。

事実俺はずっとそうだから。

「じゅな…何やってんだろ…」

花火の時、無邪気に笑っていたじゅなを思い出すと、無性に会いたくなった。

そんな事を思う自分がほんとに恥ずかしい。
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