ほんとの笑顔が見たかったんだ
「お待たせしてすみません」

玄関までつれて来られて、俺と龍星は目を見開いた。

オカンが頭を下げたその相手は、

「来たわね。最低な息子と金髪の不良」

俺と龍星を睨み付ける西條だった。

そして、いつも西條とつるんでいるヤツらもいる。

「お前に最低とか言われたくねぇんだけど?」

「空!!なんて事言うの!!」

西條を睨み返すと、オカンは俺にきつく言った。

「なんで俺にキレんだよ!!」

「今は黙ってて!!…すみません…」

オカンはまた、西條達に頭を下げた。

なんだよオカン…こいつらに媚びてんのか?

「植原さん、私今日ね、空君に殴られそうになったのよ?おまけに玄関のドアも壊そうとするし…。あなたね、空君に何を教えて育ててきたの?こんな子が近所に住んでいるなんて恐ろしいわ」

西條がオカンに言うと、周りのヤツらは"そうよそうよ"と野次る。

「本当に申し訳ありません…」

「お前が龍星の事、勝手に決め付けてふざけた事言うからだろうが!!オカン、なんでこんなヤツに頭下げんだよ!!」

「空!!黙っててって言ってるでしょ!!」

「なんでだよ!!なんで黙れとか言うんだよ!!あり得ねぇだろ!!」

「いい加減にしなさい!!」

意味分かんねぇよオカン…。

オカンは俺らの味方じゃねぇのかよ…。

「もういい。部屋戻るわ」

何もかも嫌になって、その場を去ろうとすると、オカンにグッと手首を掴まれた。

「まだ話終わってないでしょ?」

静かに言うオカンだけど、俺の手首を握る手の力はとても強い。
< 59 / 169 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop