ほんとの笑顔が見たかったんだ
「オカンって、マジで元ヤンなんだな…」
出前のピザを食べながら、俺は呟いた。
「もう空ったら、さっきの事は忘れてって言ったでしょ?」
俺と龍星の正面に座るオカンは、照れ臭そうに笑う。
結局、西條達はオカンの気迫に負けて、謝って帰って行った。
オカンいわく、あの時なんであんな行動を取ったのかと言うと、元ヤンの血が騒いだらしい…。
「空、手首は大丈夫?ごめんね…痛かったよね…」
「バーカ。あれ位大丈夫だっつーの」
あの時は痛かったけど、今はもう大丈夫。
オカンが俺の手を握っていなかったら、俺は確実に逃げ出していたと思うし…。
「てか、オカン俺の事“可愛い可愛い”言い過ぎて恥ずかしいんだけど…」
「え?だってほんとの事じゃん?」
「アホか…」
「けど、空、目上の人にはちゃんとした言葉遣いで話そうね?」
「気つけるけど、オカンには言われたくねぇー」
「ママ、普段はちゃんと敬語だもん!」
俺とオカンが会話しながらピザを食べる中、龍星は全くそれに手をつけず、俯いていた。
「りゅう君?食べないの?」
オカンは心配して龍星の顔を覗き込んだ。