ほんとの笑顔が見たかったんだ
「樹菜、顔上げて?」

ママが穏やかに言うと、私は顔を上げ、ママの顔を見た。

「樹菜…目、赤いよ?泣いてたの?」

「う、うん…。ちょっと泣けると噂の携帯小説読んでて…」

女子高生らしい嘘をついてみた。

だって、本当の事を言ったら、またママが自分の事を責めて落ち込むかも知れないし…。

でも…。

ママはお見通しだった…。

「樹菜…ごめんね…。噂を聞いただけで、"あの子と関らないで"なんて言って、樹菜を縛り付けちゃって…反省してる」

私をぎゅっと抱き寄せ、ママは謝った。

温かいママの体…。

「いいよ…。私も、ママの事"嫌い"って言ってごめんね?」

安心感からか、私はまた泣いた。





「楓ちゃん、私も龍星君に会いたいわ」

ママがそう言うと、楓さんは優しく笑った。


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