ほんとの笑顔が見たかったんだ

「じゅなちゃん、教えるの上手いね!すごく分かりやすいよ!」

「ほんと?良かったぁ!」

二人に宿題を教えてから早くも一時間が経った時、龍星君がそう言ってくれた。

彼の力になれた事が、嬉しい。

「俺らの学校の先生より断然分かりやすいし!」

「そんなぁー!言い過ぎだよ!」

やばい…。

私、今、めちゃくちゃ顔が緩んでる。

自分でも分かる…。

「ソラは出来た?」

恥ずかしくなって、ソラの方を見る。

「んー…ここ、分かんねぇ…」

「これも、今やった問題と同じ数式使ったら解けるよ!」

数学が苦手なソラだけど、真面目に問題と向き合っている。

この姿、楓さんに見せたいな。





一旦休憩をする事になった時、玄関の呼び鈴が鳴った。

「ソラー、客だぞー」

ジュースを飲んでいた龍星君が、ベッドで横になっていたソラに言う。

「あー…めんどくせぇー…龍星出てくんね?」

「分かった」

「冗談だよ。出るよ」

本当に面倒くさいんだろうな。

ダルそうに歩きながらソラは部屋から出ていった。

って…!

龍星君と二人っきりになったじゃん!
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