ほんとの笑顔が見たかったんだ
「龍星、何寝てんだよ」

その声にハッとした。

気付かないうちにソラは戻ってきていて、ドアを開けて立っていた。

手には大きめの封筒を持っている。

「いやいや、そのセリフ、ソラだけには言われたくないんだけど!」

寝転がったまま、龍星君は何もなかったかのようにいつも通りに笑う。

「うっせー」

そう言いながらもソラも笑った。

「客なんて珍しいな」

私の隣に座ろうとするソラに、龍星君はそう言うと起き上がった。

「宅配だよ。俺宛てだから、多分この間注文した漫画かも」

「それ、ちょっと前に読ませてもらった漫画の続きかな?」

「あー、多分そうかも。あれ、続き超気になるよな」

「うん!めっちゃ気になる!な、早く封筒開けてよ!俺、先に読むから!」

「なんでお前が先に読むんだよ!俺のなんだから先に読むのは俺だし!」

「しょうがねぇなー。じゃ、ジャンケンで勝った方が先に読む事にしよ!」

「わかった。絶対勝つから」

二人の何気ない会話が微笑ましい。

ほんとに、夏休みがこのまま続けばいいのにって思うよ。

こんな風に過ごす時間がずーっとずっと続けばいいのにってね。

「さ、じゃあソラが戻ってきたところでもうちょっとだけ進めるよー!」

そんな事を思いながら、私は明るく笑った。
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