ほんとの笑顔が見たかったんだ
「別に俺、普通だし」

オカンは俺の事なんてお見通しって事は分かっているけど、強がってしまう…。

嫉妬深いし、友達に八つ当たりしてしまうし、強がりだし…今の俺、マジでかっこ悪いよな…。

強がる俺に、オカンは何か言いたげな顔をする。

「なんだよ?」

「空、何かあったんでしょ?」

「なんにもねぇーって」

「いーや。何かあったね。間違いないわ」

「なんにもねぇよ。しつこい」

改まって聞いてくるオカンを振り切るように、俺はソファから起き上がった。

"じゅなの事好きだけど、じゅなは龍星の事が好きなんだ"

なんて…絶対言えねぇし…。

"何もない"の一点張りを続ける俺。

「何もないんなら、りゅう君になんであんな態度とるの?」

「…」

核心をつくようにオカンは聞いてくる。

俺は、それに対して何も言えず、黙り込む。

「りゅう君の事だから、きっと空のあの態度、気にしてると思うよ?」

分かってる。

そんなの分かってるって…。

「うっせー…」

分かりきっている事を問いかけてくるオカンにイライラする。

そんな自分が情けない。

オカンの方を見ないようにして、その場を去った。
< 96 / 169 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop