ほんとの笑顔が見たかったんだ
仕方なく自分の部屋に向かうと、龍星は床に寝転がっていた。

そして、俺に気づくと

「もう俺、英語の宿題終わったから」

眠そうな声でそう言った。

「マジか」

「うん、マジ」

「そっか」

それだけ会話すると、俺もベッドに寝転んだ。

龍星に背を向け、白い壁をただ意味もなく見つめる。

このままじゃダメだ…。

何やってんだよ俺は…。

こんな事続けたって何も変わんないだろーが。




お互い無言が続いた時、龍星が口を開いた。

「ソラ、ごめんな」

小さい声で、龍星はそう言った。

「何急に謝ってんだよ…」

「俺、バカだけど分かるよ?」

「何が?」

「そろそろ俺がずっといる事に嫌になってきたんだろ?」

「何言ってんだよ…そんなわけねぇだろが」

「じゅなちゃんと二人で遊びたい時も、楓さんと二人で色々話したい時も、どんな時も俺がいるせいで、ソラ、しんどくなったんだろ?」

マジで俺、最低だわ。

自分で勝手に落ち込んで、龍星にそっけない事をしてしまったせいで、龍星を思い詰めさせてしまうとか…マジで最低だ。

俺はそもそも、龍星に心から笑ってほしくて、龍星の支えになりたかったはずなのに…。

なのに何やってんだよ俺は…。
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