CINDERELLA STORY~貴方に巡り会えた奇跡~
冷静沈着

その言葉が相応しい程、仕事モードに入ってるジェニファーはキムさん達に淡々と告げている

私は甘いと言われようが、機会があれば協力しても良いとさえ思っていた

でもジェニファーは3時間だと強調し、キムさんが私の部屋に入る事を頑なに禁じたのだった

まぁ~

勝手に部屋に入られるのは嫌だし、ジェニファーの言ってる事は理解出来るけど、それにしたって3時間なんて短過ぎだよ

恋人同士の密会なら良いけど、たった3時間で互いの気持ちを話すのに3時間は短い気がするし、何より3時間で人生が変わってしまうんだよ

ミヨンさんもキムさんも納得してるみたいだけど、そんなんで本当に良いのかな?

私は、何だか複雑な心境だった


【ジェニファー‥‥
 リハは何時からなの?】

【CMの撮影は1時からだから、その撮影が終わったら軽く休憩を入れて6時からの予定になってるけど?
 それから、明日には桜井さんが合流するからね!!】

【げっ‥‥
 マジで、あの男が来るの?】


ジェニファーが桜井蒼紫が合流すると言った瞬間、私は凄く嫌な顔してジェニファーを見たのだった

そんな私に呆れ顔をするジェニファー

いくら呆れた顔をしても、あの男は苦手なんだもん

世界的評価の高い男だとしても、絶対に好きになれないタイプ

俺様だし、私を好きだなんて平然と嘘を吐き捨てるような奴

そんな奴が合流するなんて、誰が嬉しいと思う?

はぁ~

思わず溜め息を吐いてしまう

ってか、それより撮影は1時からだって言っていたよね?

リハは6時から‥‥

つまりリハまでは5時間はあるって事だ

休憩時間には篤人に電話してって思っていたけど、篤人に電話するのは夜にでも出来るし、ミヨンさんがパクさんとゆっくり話せるだけの時間は確保してあげたい

あぁ~

でも、篤人との電話も大事!!

逢えない分、電話やメールが貴重な時間だ

他人の事を構ってるより、やはり自分の幸せを優先させるべき?

でも、そんなのは私らしくない

篤人は自分らしく居たいって言っていた

私も、私らしく自分に出来る事をする

ならば、やっぱりミヨンさんやキムさんの力になってあげたい

そう思った私は、自分の部屋に戻った時に篤人に電話を掛けて事の経緯を話したのだった


『瑠璃は、瑠璃が思ったように行動したら良いよ
 それに明日は試合があるんだ
 午後からの試合だから、瑠璃が電話しても出れなかったと思うよ
 そう言えば、瑠璃のリハーサルが終わるのは何時?』

「9時過ぎになっちゃうかな?」

『なら、終わったら連絡くれる?』

「うん♪
 でも‥‥、試合後なのに早く休まなくて大丈夫なの?」

『平気、平気!!
 きっと試合後は万里也達と飯に行くだろうし、連絡待ってるよ!!』


不意に頭に過る篤人の笑顔

今朝まで一緒に居たのに、篤人に会いたくてたまらない

逢えない時間がもどかしいとさえ思ってしまう

私達が普通の恋人同士なら、きっと週末に会う約束をしたりして2人の時間を積み重ねられるのに、そんな風に会う約束さえ出来ないでいる

韓国の滞在は1週間

その後はヨーロッパ入りをするのが決まっているけど、今月中には日本にPV撮影で行く事が決まっているが、レコーディングと撮影で休みと言う休みはスケジュールの中に含まれてない

それでも夜にはホテルに帰れるから、篤人に会えるとは思う

早く会いたい

篤人との電話は1時間位で切ったのだけど、電話を切った瞬間から会いたさが強まってしまい、私は枕を抱きしめながら篤人の事ばかり考えていたのだった

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