CINDERELLA STORY~貴方に巡り会えた奇跡~
私達の事は隠すつもりはないと言っていたけど、篤人は本当に隠すつもりは毛頭ないみたいで、既に中園さん達にも話しているようだ

それに桜井蒼紫にも、バレた方が良いと言う

私は桜井なんかに知られたら、あの男に何を言われるかって思うだけで不快な気分だし、わざわざ自分から言わなくてもって思ってしまう

でも、篤人は桜井に俺達が付き合ってるって事を言いたいようだ

その理由は分からないけど、俺の方から桜井さんに電話して話すとまで篤人は言い放ったのだ

そこまで篤人に言われたら私から話すしかないって思い、篤人には私から話すよって告げた


『瑠璃‥‥
 桜井さんには、仕事以外では近寄らせるなよ』

「当たり前じゃん!!
 苦手なのに、仕事じゃなければ話すのだって嫌だよ」

『なら良いけど‥‥』


篤人が何を心配してるか分からない

それに、私は桜井蒼紫が嫌い

仕事以外で彼に近寄るなんて天地がひっくり返っても有り得ない事だ

一時間‥‥

なんて短い時間なんだろう‥‥

もっと篤人と話していたかったのに、部屋をノックする音が電話の終わりを告げる


「篤人‥‥
 そろそろ時間だから、また明日電話するね♪」

『あぁ~
 俺も帰宅したらメールするよ』

「うん!!
 私もメールするね♪」


愛してる

そう言いたい言葉を飲み込み、私は篤人との電話を切ったのだった

そして、まだコンコンっとノックされる部屋のドアを開けると、そこにはジェニファーではなく桜井蒼紫が立っていた

何で?

私は驚いたように桜井蒼紫を見ると、偉そうに迎えに来てやったっと吐き捨てたのだ

ったく、どこまで俺様なんだか‥‥

私は呆れたように溜め息を吐き出し、桜井蒼紫の後ろを付いて行くように歩き出した


【お前、休んでなんかないだろ?
 まぁ~、どうせお前の事だから吉岡とでも電話してたんだろうけどなっ!!】


完全に見破られている


【だったら?
 そうよ!!
 私は篤人と付き合ってる
 文句ある?】


私は、ハッキリとした口調で篤人と付き合ってるって事を桜井蒼紫に告げたのだった

思ってもない反撃に、桜井の足が止まる

だけど私は立ち止まってなんてやらない

桜井の横を通り過ぎるように歩くと、いきなり桜井が私の腕を強く掴んだのだった


【マジかよ‥‥
 お前、本当に吉岡篤人と付き合ってるのか?】

【そうだけど‥‥
 ってか、私が言わなくても知ってたんでしょ?】


驚いた顔で私を見つめる桜井蒼紫

そんな顔したって、今更って思うだけだ

逆に、何で驚いてるの?って思ってしまう


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