CINDERELLA STORY~貴方に巡り会えた奇跡~
これ以上、桜井蒼紫と話すだけ時間の無駄としか思えない

すると、桜井蒼紫は大きな溜め息を吐き出したのだった


【お前が身に着けてるTiffanyのネックレス
 それからブレスレットにリング
 吉岡篤人が、己の身体を張って稼いだ金で買ったものだって事をだ
 スポーツ選手の寿命は短い
 怪我との戦いの中、いつ戦力外通告されるか分からない世界だ
 年俸に見合った働きを己の身体一つでしなければならない
 吉岡篤人は、まだ若い
 代表選手にも選ばれ、何れは世界に出て行く選手だって事は誰もが思っている
 でもなぁ~
 世界は広い
 日本の選手が、どこまで通用するかは分からない
 海外に出た選手も、ベンチすら入れず日本に戻って来たって事も多く聴くし、サッカーを辞めたら何が残る?
 吉岡が身体を張って稼いだ金だって事を、お前はどれだけ理解してんだって事だ!!】

【そんな事、言われなくても分かってるよ!!】

【いや、分かってねぇ~な!!
 分かってるなら、そんな物を強請る奴が居るか?】


強請る?

私が篤人に強請ったっと思ってるの?

別に、私は篤人に何かを強請った訳でもない


【吉岡篤人は、お前と俺とは人種が違うんだよ!!
 TVに出るだけでギャラは莫大に入る
 お前が一曲だけでもCDを出せば、億単位の金が動く
 俺も同じだ
 スランプになろうと、俺達は必ずしも印税が入ってくるだろ?
 俺達とは物の価値感が違うし、お前が吉岡篤人に相応しいとは思えないね】


相応しくない‥‥

その言葉は、確か篤人の母校に行った時も聞いた言葉だ

人に何を言われようと、そんなの気にする事はない

私は物欲だって強い方ではないし、篤人に何かを強請る事はない

ただ、好きな人と一緒に居たいだけだ

そんな気持ちを桜井蒼紫に分かってもらおうとは思わない

それに、私の事をどう見られても構わない

理解を求めたくもない

桜井は、私を物欲の強い人間だと思っているみたいだけど、それならそれで良いと思う

だけど‥‥

やっぱり、私は桜井蒼紫が苦手だ

苦手って言うより、寧ろ益々嫌いになった

だから反論なんてする気にもならず、私は桜井との会話をするのを止めてしまったのだが、それでも桜井は色々と言ってきている

これが、桜井流の本気なのか知らないけど、私の気持ちを揺さぶろうとしているのは明確だ

なんだか、最強の天敵が現れた感じ

これから一年、彼と仕事をしなければならないと思うと憂鬱な気分になってしまった私は、ミヨンさんとシフォンさんのお祝いの席で出されたシャンパンを、お酒が弱いにも関わらず煽る様に飲んでしまったのだった

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