CINDERELLA STORY~貴方に巡り会えた奇跡~
茫然と立ちつくす私に、スタッフが駆け寄り賛辞の言葉をかけてくるが、何が起きたのか自分でも分からなかった

ただ、自分が感じたのは感情的に歌の世界に入り込み、頭が真っ白に染まった記憶だけ‥‥

それだけだった


【信じられないわ
 まさに歌姫って感じだったわよ!!
 これならアカデミー賞だって夢じゃないわ】


はぁあ?

アカデミー賞って‥‥

そんなの無理に決まってるじゃん!!

私が歌手になって3年

数々の名アーティストがもらう賞には、まだまだ程遠い

それに、自分でも実力は分かっている

作詞をする事で共感したと言ってくれるのは10代から20代の女性

勿論、男性のファンも多い

しかし、それだけではダメなんだって事は分かってるのだ

もっと年齢を問わず、私の唄を聴いてもらわなければ何れ私は消えてしまうだろう

その為には、もっと実力をつけなければならない

いつもだったら、ジェニファーの賛辞する言葉を素直に受け止める私だったが、アカデミー賞なんて言葉を言われると、素直に喜ぶ事が出来なかった

寧ろ、もっと向上しなければっと強く思ったのだった





翌日‥‥

私は有名ブランドの服ではなく、日本の20代の女性が来ている洋服を用意してもらい、ナチュラルなメイクでホテルを出たのだった

その際、ダミーとして私の付き人がジェニファーとホテルを出て、待機しているマスコミやパパラッチ、そしてファンを引き連れて行ってくれた

だからゆっくりと部屋を出て、ホテルに停車してあるタクシーに自ら乗り込み、菜摘との待ち合わせである横浜のストロベリー・ポットと言う店に向かった

菜摘が言うには、ストロベリー・ポットって言えば分かるって言うから、一応横浜にあるって付け加えてタクシーの運転手さんに告げると、運転手さんは了解しましたっと言い、丁寧な運転でストロベリー・ポットと言う店に連れて行ってくれたのだった


苺模様のエプロン

そのエプロンを身に纏ったスタッフが注文を聞いてきたので、アイスコーヒーを注文して辺りを見渡せば、カフェからは甘い匂いが漂い、ゆったりと寛ぐ女性しか店には居なかった

一瞬、日本で流行ってるメイドカフェとか?って思ったけど、それとは違うみたいで、どうやら女性客の目当てはシフォンパンケーキらしい

どのテーブルでも、美味しそうにシフォンパンケーキを食べながらお喋りしている様子が伺える

焼き上がりに20分かぁ~

確かに分厚いし、その位は掛かるんだろうなぁ~






< 18 / 132 >

この作品をシェア

pagetop