CINDERELLA STORY~貴方に巡り会えた奇跡~
それは、まるでコンサート前の雰囲気に似ている


「盛り上がってるねぇ~」


スタジアム内にある駐車場に車を停車させた優希は、外に出るなりスタジアムを見上げるように言い放った


「早く行こう♪」


もう待ちきれないっとばかりに走り出した菜摘

そんな菜摘に急かされるように歩き出すと一般用の入り口ではなく、関係者専用の入り口に向かい、吉岡さんから渡されたチケットを見せると、私達はスタジアムの警備員に誘導されるようにVIP席へと案内されたのだった


「吉岡篤人選手に、皆様がいらっしゃった事を伝えて参ります」


冷房で冷えたガラス張りの室内に通されるなり、警備員の人は丁寧な口調で告げると、菜摘は当然とばかりに備え付けの冷蔵庫を漁り、中から飲み物を取って渡してくれた


「流石、慣れてらっしゃいますねぇ~」

「まぁ~ね!!
 招待される事もあるし、自前で行く事もあるからねぇ~
 でも、自前はバレたらって思うとさぁ~
 やっぱり思いっきり楽しめないんだよねぇ~」


飲み物を受け取った優希の言葉に、菜摘が苦笑いしながら言い放ったのだが、やっぱり常に誰かに見られてるかもしれないって立場だと、時には窮屈を感じる事もあるし、好きな事を我慢しなくてはいけないから、思いっきり楽しめないって気持ちは理解出来る

私も、常にSPに守られながらメディアやパパラッチに追い回され、唯一自分らしく居られるのって言ったら自分の部屋しかない

しかも窓と言う窓は閉め切りにして、外部をシャットダウンしなければ私生活すらパパラッチの標的になってしまうのだ


「あっ!!
 そろそろキックオフだよ」

「キックオフ?
 どっちを応援すれば良いの?」


グランドに目を向け、大きな声で叫んだ菜摘に私は赤とブルーのユニフォーム姿の選手の姿に、どっちが大和マリナーなのか分からずに尋ねると、菜摘は私の手にオペラグラスを手渡し、赤のユニフォームがマリナーだから吉岡さんを探してみれば?って言ったのだった

赤のユニホームかぁ~

私はオペラグラスを手に、赤いユニホームの人の中から吉岡さんを探してみる事にした


「いた!!
 あの20番って背番号が吉岡さんだよね?」

「正解♪
 ちなみに永井悠斗が7番
 河本晋也が10番
 優希がパーフェクトって言っていた中園万里也は、背番号が25番だからチェックしてみて♪」


背番号7と10、それで25ね‥‥

菜摘に言われたまま、私はユニフォームの背番号を必死に探してみた


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