CINDERELLA STORY~貴方に巡り会えた奇跡~

The real face of the prince

エレベータで下に降り、菜摘は興奮して騒いでいるが、私と優希は無言で長い廊下を歩いていた

しかも、やけに心臓がドキドキとしている


「ねぇ~
 さっきから2人共無言だけど、瑠璃は初めてだって知ってるけどさぁ~
 優希も選手控室とかって初めてなの?」

「えっ?
 初めてだけど、もしかして菜摘は行った事があるの?」

「あるよ♪
 ってか、悠斗や晋也と友達だし‥‥」

「「はぁあ?」」


菜摘の言葉に、私と優希の驚いた声が被さった

今、さらっと言ったけど‥‥

友達って言ったよね?

全く聞いてないんだけど‥‥

サッカーの観戦の話をした時も、カフェで話していた時も、サッカー観戦している時だって、菜摘からは友達なんて言葉は一言だって聞かされてなかった

それなのに、今になって友達って‥‥


「菜摘‥‥
 友達なら、最初から言えば良いでしょ?
 もしかいて、控室に呼ばれるって事も知ってたの?」

「うん!!」

「うんって‥‥
 だったら言ってくれれば良いじゃない!!
 そしたら選手への差し入れとか持って来たのに!!」


菜摘の腕を掴んだ優希は、ちょっと怒ったように菜摘に言い放ったのだった


「私も同感だけど‥‥
 ちょっと落ち着いて!!
 差し入れなら、ジェニファーに頼んで選手に渡してもらってるよ
 だから、ちょっと落ち着こう」


慌てて私が二人の間に入った

サッカーのチケットをもらい、観戦に行くと決まった時点で差し入れはマネージャーに頼んどいた

それは、どの業界でも招待されれば差し入れをするのが礼儀だからだ

だから、その点では抜かりはない


「優希ってば、そんなに怒る事ないじゃん!!
 私だって差し入れは頼んだし、優希は急に誘ったんだから差し入れは無理だったでしょ?
 それに、友達だって言わなかったのは私からのサプライズ♪」

「はぁあ?
 サプライズって‥‥」

「私がサッカー好きだって知ってるでしょ?
 観戦にも行くって‥‥
 それで悠斗と晋也と知り合ったんだけど、優希が万里也のファンだったなんて知らなかったし、瑠璃はヨッシーと対談で知り合ったのは聞いたけど、あくまでも仕事上で話しただけでしょ?
 だから、これからプライベートでも仲良くなれたらって思って秘密にしといたんだよ!!
 折角のチャンスじゃん
 仲良くなれたら良いじゃん♪」


未だに怒りが収まらない優希

そんな優希に動じる事なく、菜摘は笑顔で言ってのけたのだった

あくまでも仕事上かぁ~

確かに、菜摘の言う通りだ

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