CINDERELLA STORY~貴方に巡り会えた奇跡~
大切に育んだら、恋が実?

優しく微笑みを浮べた優希の言葉に、私はちょっと恥ずかしくなってしまった

恋がしたい

そう思っていた

誰かを好きになる

好きと思える人に出会いたい

そんな事ばかり考えていた

殺人的スケジュールの中、恋への願望だけは強まるけど、恋の訪れは一度だってなかった

いや‥‥

あったのかもしれないが、いつも恋は私を通り過ぎていった

アメリカに渡ってから、告白された事は何度となくあったけれど、私が好きになれなかった

好きでもない人と付き合う程、私はヒマではない

付き合ってから好きになれば良いと言うが、付き合ってみて好きになれなかったら?

そう思うと、やっぱり自分が好きになった人と付き合いたい

だけど、今迄疾風だけしか自分から好きになる事がなかった

それに男の人と出逢っても、短い時間でしか話す事が出来ないし、連絡先を教えたとしても、最初は連絡を取り合っても長続きはしない

何故なら、私から連絡を途絶えさせてしまうからだ

ゆっくり時間があれば心に余裕が出てくるんだと思うけど、ハードなスケジュールの中で、自宅に帰れば寝て居たいし、自分の時間だって欲しい

その時間を削ってまで連絡をしたいと思える人は居なくて、だから自然と友達止まりで終わってしまう

もしかしたら、私は恋愛に向いていないんじゃないかって思ったりもした

でも、やっぱり恋はしたい

吉岡さん‥‥

彼に抱く気持ちが恋なのか‥‥

そうじゃないのか‥‥

自分でも分からないけど、少なくても今迄とは違う感情を持っているのは確かだった


「お疲れ様でした♪」


大和マリナーの選手控室の扉を開けるなり、菜摘が大きな声で挨拶をして部屋の中に入って行った

それに続くように優希、そして私が室内に足を踏み入れると、既に選手の人はジャージに着替えて居たり、私服に着替えを済ませていた


「紹介しますね♪
 私の学生時代からの友人で、女優の鳥居優希
 そして、世界の歌姫として有名なRURIで~~~す♪」


なんと言う菜摘からの紹介の仕方なんだろう

そう思いながら私と優希は頭を下げて挨拶をすると、選手達から歓喜に満ちた声が湧き上がったのだった


「マジでRYRI
 あのRIRIかよ~」

「やべぇ~
 俺、RURIのファンなんだよねぇ~」


そんな声と共に、私の周りを取り囲むように選手が押し寄せると、次々とサインを強請られてしまい、私は差し出されるスポーツバックからユニホームにサインを書いたり、肩を抱かれるようにして写メを撮られたのだった



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