CINDERELLA STORY~貴方に巡り会えた奇跡~
私や優希が写真を撮られてる最中も、選手達と大騒ぎしてはしゃいでいた菜摘

それなのに、やけにあっさりと引き下がる菜摘の様子は優希でさえ驚いていた

そして優希の車の前に到着すると、菜摘は車の前に立って何故だか動かない

しかもニヤニヤと笑みさえ浮かべて、手に持っている携帯を弄っていたのだ

あまりにも不自然過ぎる行動に、とうとう優希が菜摘の傍に近寄ったのだった


「菜摘‥‥
 何か企んでるでしょ?」

「えっ?
 いやぁ~
 あははははっ‥‥」


優希の突っ込みに、笑って誤魔化す菜摘

しかし、そんな菜摘を許さないっとでも言うように優希が詰め寄った


「優希も瑠璃も、この後は暇でしょ?
 選手の何人かとご飯でも行こうよ!!
 ってか、もう約束しちゃったんだよねぇ~」

「「はぁあ?」」


優希が言い放った言葉に、私と優希は呆れたような声を同時に上げてしまった


「そんなに驚かなくても良いじゃん!!
 ご飯だけなんだし、ちょっとくらい良いでしょ?
 ってか、良いって言うより決定事項なんだけどね!!」

「あんたねぇ~
 ったく、いつだって菜摘は自分勝手に決めちゃうし、一度だって相談した事とかある?
 いつも振り回される私の身にもなってよね!!
 ご飯だけって言いながら、やれ2次会だから強制参加って言った事もあったし、こっちは早朝ロケだって言うのに、私の事情なんて気にもせずにマンションに泊まりに来たりしたじゃない!!
 それから‥‥」


菜摘に詰め寄った優希は、まだあるの?って言うくらい数々の菜摘の強引さを口に出していったのだった

しかし言われてる当の本人は、まるで気にしてない様子で携帯を弄っている

そんな光景を見ながら、私が知らなかった5年の歳月の中、勝手に物事を決めてしまう菜摘

それに対して怒ってる優希

二人にとって、こんな光景は日常茶飯のように繰り返し行われていたんだなぁ~って思い知らされたのだった


「もう終わった?
 なら約束の時間も迫ってる事だし、場所移動しよう!!」


携帯を鞄の中に入れて、まるで何もなかったかのように言う菜摘

そんな菜摘とは違って、いっきに菜摘への不満を喋った優希は顔を蒸気させていたのだが、全く動じない菜摘に大きな溜め息を吐きだしながら車のロックを解除したのだった


「菜摘は後ろ
 瑠璃は助手席だからね!!」

「はいはい‥‥
 じゃあ、取りあえず条乃苑って言う焼肉屋に向かってねぇ~♪」


後部座席のドアを開け、車に乗り込みながら目的地を言う菜摘に、優希は乱暴に運転席のドアをバンッ!!と閉めた

なんて言うか、気まずいんだけど‥‥


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