CINDERELLA STORY~貴方に巡り会えた奇跡~
そんな事を考えながら、私は優希の車の助手席に乗り込んだのだった


「「煙草、良い?」」


車が走り出すなり、菜摘と優希が同時に尋ねて来た

ってか何だかんだ言っても、菜摘も優希も息がピッタリなんだから‥‥

そう思いながら頷いた私に、何で菜摘まで煙草を吸うのだとか優希が騒いでいたのだった

スタジアムから車で20分位は走っただろうか‥‥

陽の落ちた夜の風景の中、ライトアップされた緑が溢れる静かな閑静な住宅街を優希の車がゆっくり走っていた

そして暫くすると、優希は15階建てのマンションの地下駐車場に車を入れたのだった


「今、私が住んでるマンション
 ここから条乃苑は、徒歩で5分位の場所だから歩きで良いよね?」


車を停車させた優希に頷き、此処が優希のマンションなのかぁ~って見上げてしまったのだが、今居る場所は駐車場

見上げても、コンクリートの天井が見えるだけだった


「何やってるの?
 あっ!!
 良い忘れてたけど、菜摘も階は違うけど同じマンションの住人
 去年だったかなぁ~
 いきなり引っ越して来たんだよ!!
 有り得なくない?」


まだ菜摘への怒りが収まってないのか、優希は菜摘の身体に身体をぶつけるようにしながら、呆れたように言い放った

すると、菜摘が優希の身体に身体をぶつけて来て、2人は何するのよって言い合いながらドッ突き合いをして歩いて行ってしまう

だから私は慌てて2人を追いかけたのだった

やっぱり、仲良しだ!!

私の知らない5年‥‥

私が居なかった5年‥‥

その間、2人の友情は変わりなく続いている

2人の光景を微笑ましく思う反面、少しだけ離れていた5年と言う歳月に寂しさを感じてしまった


「「瑠璃!!」」


どんどんと先に行ってしまった2人が、突然振り返って私の名前を呼ぶ

一瞬、置いてかないで‥‥

そう思いながら、私は2人の待っていてくれる場所へと走り出した

離れていた5年‥‥

これから埋めれば良いのだ

2人は、こうして私を待っていてくれるのだから‥‥


「此処が焼肉屋さんなの?」


一見、お店だとは分からない普通の住宅

建物に看板がある訳でもない

本当にお店なのか不安になって2人に尋ねると、完全予約制の貸切の店だと言ったのだった

しかも、全国チェーン店の本店なのだと言う

国産の高級和牛しか取り扱ないがなく、味も値段も一級品だけど、完全予約の貸切って場所は芸能人の一番の穴場なのだと説明してくれたのだった

ってか、そんな穴場なのに急の予約で貸切に出来るなんて、菜摘は凄い人間なのかも‥‥


「いらっしゃいませ♪
 ご予約を頂いたRURI様ですよね?」

「はぁあ~
 えっ?
 予約って‥‥」

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