CINDERELLA STORY~貴方に巡り会えた奇跡~
伴奏者

バックダンサー

この最高のステージを演出してくれたスタッフ全員とハイタッチをしながら、私は控室へと向かう

これはコンサートの度に私が進んで行ってる行動だった

お礼を伝え、時にはハグをしたりしながら控室までの距離を歩いてゆく

でも、流石に疲れた

息は上がってるし、足に微かな痙攣さえ感じる

しかし控室に入るまでは絶対に笑顔だけは絶やす事無く振り撒いた私は、やっとの事で控室に到着するなり、もう限界っとばかりに崩れ落ちたのだった

そんな私にジェニファー達が忙しなく動き回り、私に水分補給させたりマッサージを施してくれたりしてくれた


「よぉ~
 この3日間のコンサートだけど、今回が最高の出来だったなぁ~
 お前の事、甘ちゃんなんて言ったけど見直した」

「そ、それって褒めてるの?」

「あ″?
 一応、褒めてるつもりだが‥‥
 それにTVなんかで見るより実際のお前を見て、俺の被写体になる素材としては合格だな!!」

「合格って‥‥
 まぁ~、褒めてるなら良いや!!」


勝手に控室のドアを開け、中に入って来た桜井蒼紫

しかも私が疲労でヘバッているにも関わらず、カメラのレンズを私に向けて写真を撮っている

こんな姿まで撮る必要性は感じられないが、私には拒絶する気力は残ってない


【RURI、動ける?】

【うん‥‥
 ちょっと、シャワーを浴びてくる】


全身マッサージを受けた身体は、幾分疲れが取れたみたいだったので私が身体を動かすと、ジェニファーは心配そうに私に手を貸してくれたのだった

その手を取りながら立ち上がった私は、桜井蒼紫に対して今日の撮影は終わりにするようにジェニファーに伝えた後、シャワーを浴びに別室へと移動した

熱めのシャワーを頭から浴びながら、汗だくになった身体を時間を掛けて洗い流すと、自前の洋服に着替えて自らメイクを直す

とは言っても、ほとんどスッピンに近いメイクをするだけだった

こんな顔を桜井蒼紫に撮影なんてされたくない

だから撮影は終わりって告げたんだけど、私は控室に戻るまでの間に桜井蒼紫が出没するんじゃないかってビクビクしながら控室へと戻ると、そこには大きな白い薔薇の花束が置かれていたのだった

差出人は、勿論篤人からだった

そう言えば、最終日には会える

そう言ったのを思い出した私は鞄の中から携帯を取り出したものの、思わず篤人に電話を掛けるのを躊躇ってしまった

約束を破棄する人間は嫌い

だから、自分も約束は守る

それが私だ





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