CINDERELLA STORY~貴方に巡り会えた奇跡~
白い薔薇

この3日間、欠かす事なく篤人から届けられたけど、篤人はどう言うつもりで私に薔薇の花束を贈ったのだろう‥‥

態々、花屋に行って買ったのかな?

それとも業者に頼んだのかな?

あっ、業者って事はないかぁ~

篤人から贈り届けられる花束には、必ずメッセージカードが添えられていて、しかもコンサートの内容が書かれていた

昨日の花束にも、3曲目の曲のタイトルが書かれていて、その曲が良かったと書かれていた事からして、コンサート終了後に書いたのだって事が分かる

この3日間‥‥

私は全て同じ順番に唄った事は一度もない

なら、どう言うつもりで花束を贈ってくれたんだろう?

深い意味はないのか‥‥

ってか、期待して奈落の底に突き落とされたくない

友達

そう‥‥

きっと、友達としての花束に違いない

ならば、私も友達としての気持ちに切り替えるしかないよね

そう決心して、漸く篤人に電話を掛けようとした瞬間、いきなり控室の扉がノックされたのだった


「はい‥‥」

「警備の者ですが、失礼しても宜しいでしょうか?」

「どうぞ!!」


意を決して掛けようとした携帯を再び鞄の中に突っ込み、私は扉の方に身体の向きを変えると、そこには篤人からの花束を届けてくれた警備員の人が、帽子を脇に抱えながら申し訳なさそうに部屋の中に入って来たのが見えた


「あの~
 実はVIP席の方がRURIさんにご面会を申し出ていますが、いかがなさいますか?」

「面会ですか?
 その人の名前は?」


私が警備員の人に答えると、警備員の人は優希や菜摘達の名前を上げ、更には篤人の名前を言ったのだった


「どうぞ‥‥
 控室に通して下さい」


ニッコリと微笑みながら私は警備員の人に答えると、警備員の人は大きな返事をして控室の扉を閉めたのだった

それと同時に、私は鏡の前で身嗜みのチェックを始めたのだが、スッピンに近いメイクだった事を忘れていた

どうしよう‥‥

もしメイクの最中に来ちゃったらって思うと、今更手を加える事が出来ない

この前、篤人と海にドライブに行った時だって、ナチュラルだったとは言えメイクは完璧だった

でも、今の私は?

殆んどスッピンって感じだよ~~~


【ねぇ~
 ヤバいよね?】

【何が?】

【私の顔だよ!!
 殆んどノーメークって感じじゃん!!】

【あら~
 普段のRIRIって感じじゃない】


ふむぅ~

ジェニファーに聞いたのが間違いだった

普段の私って‥‥

確かに、普段の私はスッピンに近いメイクしかしない

ちゃんとしたメイクは人前に出る時だけで、レコーディングでさえスッピンに近いメイクで行っている

こんな顔を見慣れてるジェニファーにとっては普通なのかもしれないけど、やっぱり篤人に見せられるような顔じゃない!!

どうしよう‥‥

どうしたら良いの~~~

って、今更足掻いても仕方ないかぁ~

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