CINDERELLA STORY~貴方に巡り会えた奇跡~
篤人にとって、私は友達

別に幻滅されようが、これが私の本来の姿なのだから今更隠しても仕方がないかぁ~

私はジタバタするのを止め、一先ず落ち着こうとペットボトルに入ってるお茶に口を付け、ジェニファーとエンジンニアであるロバートと一緒に、今後の打ち合わせを始めたのだった

基本的なスケジュールとしては、明日は休み

そして翌日には韓国へ出発

その日に記者会見と雑誌の撮影

翌日はCMの撮影と、コンサートの打ち合わせ

それからTV出演の依頼もあると言っていた

韓国での滞在期間は1週間の予定で、その後はイタリアなどのヨーロッパ公演のスケジュールになっている

その間、再び日本でのPV撮影とアメリカでの仕事も組み込まれていて、やはりハードスケジュールなのだと認識させられた

でも明日は休みって言葉は、ちょっとだけ嬉しかった

何も予定の入ってない休みなんて、本当に久し振りの事だ

大抵は略仕事に追われる事が多いのだが、ちょっとだけ休みと言われても午前中に仕事が入っていたり、午後から仕事だったりして一日中休みって事はなかったから、明日は何して過ごそうかなぁ~ってウキウキした気持ちになった

そんな中、控室の扉がノックされてジェニファーが扉を開けてくれた

すると笑顔で優希達が賑やかに控室の中に入って来て、その後ろから篤人達が控室に入って来たのだった


「瑠璃、お疲れ様♪
 今日のコンサート、もう最高だったよ!!」

「ありがとう♪」


元気な優希の言葉に返事をしながら、私は視線を篤人に向けて見る

しかし篤人は、中園さんと何か話しているみたいで私に視線を向けてなかったから目が合うって事はなかった

花束のお礼を言わなきゃ‥‥

そう思っても、なかなかタイミングが掴めない

何故なら貴子や博子、そして愛美の3人が初めての楽屋に興奮して大騒ぎをしているからだ


「そうそう
 RURIのグッズもブースで買ったんだよ
 サインしてよ♪」

「「私も♪」」


愛美に同調して、博子と貴子までもがブースで買ったと思われるタオルやTシャツなどを袋から取り出しサインを求めて来たのだった

そんなタオルやTシャツは勿論、様々なグッズは全て私がデザインをしているものだ

最初の頃は、そんな事にも手が回らなかったけれど、今はエンジニアと相談しながらブースの全てのデザインを私が行う事になって、その売り上げの半分は福祉に寄付しているのだ


「瑠璃‥‥
 一緒に写真もお願い!!」


取りあえず差し出されたパンフにサインを書き終わった後、博子が取り出したのはデジカメだった


【ジェニファー
 お願いして良い?】


私は博子からデジカメを受け取り、ジェニファーに撮影をお願いした


「あっ!!
 是非、吉岡さん達も一緒に入って下さい♪」


控室の隅に立っていた篤人達に貴子が声を掛けると、篤人達はゆっくり私の方に近付いて来て、その時になって初めて篤人と目が合ったのだった

一瞬だけ、目と目が合う

その一瞬が、私にとって長いようでもあり短いような気がした

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