CINDERELLA STORY~貴方に巡り会えた奇跡~
ドキドキと高鳴る鼓動

それを悟られないようにするのが精一杯な私は、篤人に笑顔を向ける事が出来なかった

お礼‥‥

今なら言えたかも知れない

でも、篤人に声を掛ける事が出来なかった

ってか、ダメダメじゃん!!

情けない‥‥

本当に、自分が情けないよ‥‥

そんな事を考えながら、向けられたデジカメに笑顔で応えた私は、この後行われる打ち上げに皆を誘ってみたのだ


「行くに決まってるじゃん!!
 万里也達も行くよね?」

「おぅ!!
 勿論、行くよな?」

「あぁ~」


菜摘のノリノリの返事は、そのまま中園さんに向けられ、そして中園さんは篤人に話を振ったのだった

その言葉に、篤人は行くと返事をしてくれた

良かったぁ~

なら、まだお礼を伝えるチャンスはある

そう思った私は、再び目が合った篤人に、やっと笑顔を向ける事が出来たのだった

しかし、そんな私の視線を篤人から逸らされてしまった

な、何で?

重なった視線を逸らされ、私の胸がズキッと痛むのを感じながら、やっぱり自分が言ってしまった言葉が篤人の迷惑だったのかと思い知らされ、誰にも悟られないように心は凹んでいたのだった

篤人の声を聞いたら、疲れなんて吹っ飛んだ

あの言葉を言わなければ‥‥

あんな事を言わなければ‥‥

でも、だったら何故3日間も白い薔薇を贈り続けてくれたの?

社交辞令ってヤツ?

期待してはダメだって自分に何度も言い聞かせていたけど、心の片隅で何処かで密かに期待していた自分に呆れてしまう

今日の打ち上げが終わったら、もう篤人と会う事はないだろう

やっぱり、私は篤人の事を友達だとは思えない

彼が好き

好きだからこそ、迷惑だって思われてるのに気持ちを引きずる事は出来ないし、会えば気持ちが抑えられなくなる

だったら、もう忘れるしかない

会ったりしてはダメ

今日が最後にしよう

そう自分に言い聞かせながら、私は打ち上げ会場へと向かったのだった

コンサートの大盛況を祝した打ち上げは、お店を貸し切って盛大に執り行われ


そんな前半は関係各社へのお礼の挨拶で時間が過ぎ、後半になると最早好き勝手に皆が騒いでるって感じになる

まぁ~

それはいつもの事だ

だから私は自由になった途端、私を待っていてくれる優希達の元に向かい、改めて乾杯をしたのだった


「「「「「お疲れ~♪」」」」」

「ありがとう♪」


優希に菜摘、そして貴子や博子、愛美によって労いの言葉を言われグラスを傾ける

そして、その傍に居る中園さんや河本さん、篤人ともグラスを傾けたのだった


「吉岡さん‥‥
 花束ですけど、ありがとうございました♪」


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