CINDERELLA STORY~貴方に巡り会えた奇跡~
篤人が大人しい部類の人だったなんて、絶対に信じられない


「サッカーでも、野球でも上手くて目立つ奴って人気があるだろ?
 俺は、そう言ったタイプじゃなかったよ
 子供の頃から家でゲームするより、外で走り回ってる方が好きで、だから小学校から野球とサッカーを始めたんだけど、いつの間にかサッカーに夢中になって中学もサッカー部に入ったんだよ
 でも、俺の中学って弱くてさぁ~
 野球なら神奈川、サッカーなら静岡ってくらい層が厚くて、静岡県で部活とは別にサッカー育成強化チームってあるんだけど、兎に角上手くなりたいって気持ちがあったから、勝手にテストを受けてチームに入ったんだけど、俺が強化チームに入ったって言ったら誰もが驚いていたし、高校も強くなりたいって思ったから片道電車で2時間かかる高校に受験するって決めて、駅までは朝晩と母さんが送り迎えしてくれたんだ
 夜遅くまで部活があったし、早朝も部活だったから車の中で飯を喰って、電車の中で寝てるか勉強してるかだったよ
 だから彼女なんて出来なかったし、作る暇もなかった
 高校2年でプロに目を掛けられるまで、体育の教師になろうと思ってたから勉強だけはしてたけど、実際プロになっても出会いとかなかったし、だから彼女とか一度も出来た事がないんだよ!!」


そ、それって篤人にとって私が初カノって事?

思い掛けない篤人の言葉に、心臓のドキドキが加速する

ヤバいよ

嬉しすぎだよ


「瑠璃は?
 作詞とかって大変なんだろ?
 恋多き女性だっけ?」

「はぁあ?
 そんなの、メディアが言ってるだけだよ!!」

「分かってる
 冗談だって‥‥!!」


頬を膨らませた私に、運転している篤人が大きな笑い声を上げたのだった


「作詞は大変だけど、私の恋愛なんて高校の時に1度付き合った事があるだけで、しかも3回のデートをしたんだけど、私がアメリカに引っ越したら自然消滅
 恋って言うには短かったし、だから私の書く作詞なんて小説や映画がネタだったり、妄想で書いてるようなものだよ
 なのにメディアは熱愛だとか破局だとか書き立て、直ぐに炎上しちゃうの
 だから、篤人の迷惑になったらって思うと‥‥」


私は、メディアの事を口に出して気分が沈んでしまった


「何も心配する事はないよ
 俺等は俺等らしくしてれば良いって言っただろ?
 叩かれようが、そんなの気にするなよ!!」

「でも‥‥」

「俺等、あまり会う時間はないけど互いを信じていけば良いんだって!!
 まだ始まったばかりだろ?
 今から先の心配しても仕方がないし、何も隠す必要はねーよ!!」

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