CINDERELLA STORY~貴方に巡り会えた奇跡~
そして再び篤人の車に乗り込み、私達は静岡県へと向かったのだった

静岡東高等学校

そう書かれた校門の前には、関係者以外の立ち入りは禁止してますと書いてあり、御用の際は事務課にお越しくださいと立札があった

篤人は勝手知ったる母校って感じで、車を学校の駐車場に停車させると、私の手を繋いで校舎の中に入って行ったのだった


「お久し振りです」


夏だと言うのに、涼しい校舎の中

その校舎の正面玄関に入るなり、篤人は事務課と思われる窓口で声を掛けたのだった


「吉岡君?
 何?
 どうしたのよ~~~!!」


振り向いたのは女性の職員だった

その声に反応した事務課の職員達は、いきなり現れた篤人の登場で驚くくらい大騒ぎになってしまった

そして入れとばかりに事務課の部屋の中に誘導され、訳が分からないまま通されたソファーに座らせられると、目の前には沢山の事務課の職員に取り囲まれてたのだった


「もしかしてRURI?
 RURIでしょ~!!」


一人の職員がサングラスを外した私を見て、騒ぎ合う声より大きな声で叫ぶように言うと、篤人に注目していた人達が私を一斉に見て、飛び跳ねる様に喜ぶ人や、信じられないとでも言うように口元を手で覆う人、中には拍手する人まで居たのだった

それに伴って職員から携帯のカメラを向けられ、パシャパシャと写真を撮られたかと思ったら、今度は自分と一緒にっとばかりに私と篤人の真ん中に職員が一人ずつ入り写真撮影

そう言えば、私は篤人との写真って一枚もなかったっけ‥‥

雑誌の対談の撮影写真はあるけど、個人的な写真は一枚もない

ならば、この際撮ってもらおうっと職員に携帯を差し出し、私は篤人との写真を職員の人にお願いしたのだった

勿論、直ぐに了解してくれた女性職員


「あっ‥‥
 俺もお願いしていいっすか?」


篤人は私の携帯を受け取った女性職員に自分の携帯を手渡し、私と篤人は職員のお蔭でプライベートツーショット写真を撮ってもらう事が出来たのだった

寄り添う笑顔の2人

収められた写真を見て、思わず顔がニヤけてしまう


「もしかして2人は‥‥」

「そう!!
 俺の彼女‥‥」

「「「「「「「「えぇ~~~~っ!!!!!」」」」」」」


男性職員の言葉に、何の躊躇もなく彼女と言った篤人の言葉に、事務室の中に驚きの声が響き渡ったのだった


「今日も練習ってしてますか?」

「やってるよ!!」

「じゃあ、ちょっと顔出して来ます」


一先ず、やっと職員の騒ぎが落ち着いた頃を見計らって篤人が話し出すと、答えてくれたのはメガネをかけた真面目そうな男性職員だった

その人の言葉を聞いた篤人が立ち上がると、私も慌ててソファーから立ち上がり、軽く会釈しながら事務室を出て行ったのだった




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