Jewel Box
「おねーさん、大丈夫?」


黙ってしまったあたしに彼は優しく手を引いて、ベンチに座らせてくれる。




沈黙が流れる。






長い沈黙の後、口を開いたのはあたしだった。



「泥棒に入られちゃった」


ヘヘッと笑うあたしに彼は急に真剣な顔になる。



「泥棒? 被害届とかは――」
「そんな事どうでもいいの!!」


急に大声を上げたあたしに彼は少しビックリしたようで。


だけどすぐに真剣な表情になる彼。

「何があった?」



彼の問い掛けにあたしはゆっくり口を開く。



自分でも分からなかった。

何で見ず知らずの人にこんな事を話しているのか。



ただ優しい彼に無償に甘えたくなった。
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