Jewel Box
彼等がこちらに向かってきているのが。
彼等はただ帰る為にこちらに向かってきているだけなのだと思うけど、とりあえずこの時のあたしは気付かなかったのだ。
丁度彼等が曲がり角を曲がった時に鉢合わせになってしまった。
その時あたしはやっと自分の失態に気がついた。
とりあえず逃げなければならなかったのだ。
……あたしの馬鹿。
どうしよう。
とりあえず彼等の顔を見る事が出来ない。
「もしかして、おねーさん見てた?」
「え? いっ……いや見てないです!」
何て無理があるんだろうこの言い訳。この場所にいて、しかも放心状態。
見ていない訳がない。