Jewel Box
「……っ! 失礼します!」
駄目だ。
これ以上絡まれるとあたしは絶対キレる。
「あ、もしかして気にしてんだ?」
顔を覗き込み馬鹿にしたように笑う彼。
彼が腕を掴んだがあたしは振り切って、走り出した。
その拍子に落ちた店の名刺にあたしは気付かなかった。
「珍しいじゃん木崎。女に手、出さないなんて」
「まぁ、会おうと思えばいつでも会えるしね」
俺の言葉に首を傾げる友達の佐々木。
そんな佐々木に俺は一枚の紙切れを見せる。
「JEWELRY? ふーん……、あの女の人キャバ嬢なんだ」
「まぁ、これ拾わなかったら逃がさなかったけどね」
闇夜に男達の笑い声が響いた。