Jewel Box
仕事を終え、帰路につく。
今日は飲み過ぎた。
全く力が入らない。
おぼつかない足取りでタクシーを降りる。
何とか部屋の前まで辿り着き、ドアに手を掛けた時だった。
「今日の仕事はどうだった? おねーさん?」
ポンポンと肩を叩かれ、振り返る。
「え………」
目の前には金髪の男。
それはつい最近会ったあの男だった。
「……どして?」
「やだなぁ、これからお隣り同士なのに。俺、弟と2人暮らししてんの。双子の弟とね」
双子の弟……。
やっぱり2人は血縁関係だったんだ。
でも今はそんな事気にしてる余裕はない。
目の前には彼がいる。
もう後ろのドアを開けるしか逃げ道がなかった。
器用に鍵を差し込み、カチャリと回す。
――開いたっ!
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