Jewel Box


一目散に部屋に入り、ドアを閉めようとしたが、


彼の足が入り込んで来た。



「嬉しいなぁ……。わざわざ部屋に入れてくれるなんて」



ドアを完全に閉めて、歩み寄ってくる彼。




「……来ないで」


もう意味がないと分かってても後退さる。




恐怖でそのまま尻餅を付いてしまう。



あたしの目線に合わせるようにしゃがんだ彼はそっと自分の口元に人差し指をつけて微笑んだ。



「絶対に声出しちゃダメだよ? マンションの人達が起きたら大変だからね?」


残酷な言葉と共に。



フローリングの上に押し倒される。

冷たい感触が身体全体に伝った。
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