Jewel Box
何となく左右を確認して目に入った人物。


ええと……たしか――漣とか言う少年。




こんな夜中に何で家に入らないんだろう。


そこそこ寒いのに。



「そんなとこで何してんの?」


あたしが声をかけると漣は困ったように少し笑った。


「ちょっと鍵忘れちゃってさ……。だから入れないんだ」



「家の人に連絡すればいいじゃん」


そう言うと彼はもっと困ったような表情をした。


「いや……ちょっと仲悪くてさ」



あぁ、そういえば2人暮らしなんだっけ。



確かに2人を対象してみても、仲良くやってける雰囲気じゃないなと1人納得する。


「そうなんだ。あたし今からコンビニ行くから」


「あ……うん。いってらっしゃい」



彼に背を向け、数歩歩いたが立ち止まった。


振り返って彼を見ると、彼はドアの前でしゃがんで携帯を弄ってた。




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