Jewel Box
「ふぅ………」
玄関の前まで着いて、思わず息をつく。
最近は運動から遠ざかっていたから、少し遠くまで歩いただけで疲れる。
ハイヒールを脱いで、リビングへ向かう。
リビングと廊下を仕切る扉の向こう側から微かな寝息が聞こえてきた。
そっと扉を開ける。
漣はテーブルに顔を伏せて眠っていた。
向こう側の椅子に座り、寝顔を見つめる。
――可愛いな。
高校生と言ってもまだ幼さが残る顔立ち。
「はっ……くしゅっ!」
突然の彼のくしゃみに少し驚く。
起きるかと思ったが漣は鼻を啜っただけでまた寝息をたて始めた。
そういえばずっと外で待ってたんだっけ……。