Jewel Box
そりゃ風邪もひく訳か。
あたしは立ち上がり、寝室から布団を持ってくると、彼の背中に布団をそっとかけた。
再び彼の向こう側の椅子に座り、テーブルの上の買い物袋に手を伸ばした。
ビールをの蓋を開けると、一口口に含む。
――ほんと自分はどうかしてる。
そうつくづく思う。
仕事から帰ってきた今も、こうして酒を口にしているのだから。
もしかしたらあたしの身体のほとんどはアルコールが支配しているのではないかと。
いや、もしかしなくても。
そう馬鹿な事を考えた。
「はっ……くしゅっ!」
2度目のくしゃみで起きたのか、彼は薄らと目を開けた。
ゴシゴシと目を擦り、欠伸をする漣。
「あ……、おねーさんおかえり」