Jewel Box
「あたしの部屋で寝ていいよ。今日は家入れないんでしょ?」
「え? いいの……?」
流石に泊めてくれるとは思ってなかったらしく、目を丸くする漣。
「風邪引いてるのにもっと悪くなるでしょ」
まぁ、他の人と比べると冷たい人間だということは自覚あるけど、あたしだってそこまで酷い人間じゃない。
しかもあんな場所で一夜を過ごそうとしてるのを見たのに見捨てるなんて何だか自分のせいで彼が風邪を引いてしまったみたいで何かやだ。
グゥゥ。
突然鳴った腹の音。
あたしのじゃない。
……となると
「あ……ごめん」
ごめんと言われても何もない。
あると言えばおつまみとスナック菓子とビールだけ。
常に冷蔵庫には食料がない。
なぜならあたしは料理が下手だから。
そしてそれを克服しようなんて考えず、時間がある時はいつも外食だったから。