Jewel Box
「お金、置いとくから」
今も尚ソファで煙草をふかしている母親の前にお札を叩き付ける。
もう用はないと、部屋から出ようとした時
「足りない」
不意に聞こえた声に振り返る。
「は?」
指でお札を数えながら母親は不屈そうに呟く。
確かにあたしは母親の言われた通り10万を差し出した。
それなのに足りないとはどうゆう事なのか。
「いや、実際に見てみると少ないと思ってね」
「ふざけんな」
バン!と扉を壊すくらいの勢いをたてて部屋を出た。