Jewel Box
写真立てだった。
引越しの時に偶然見つけた私と父の写真。
慌てて写真立てに駆け寄り抱き締めた。
「……出てって」
壊さないで。
お願い。
全て無くなってしまうから。
「あ? 何大事そうに抱えてんの?」
「やめて!!」
私の胸から写真が奪われる。
「なんだ、ただの家族写真じゃん」
「お前何してんだよ!」
――漣が駆け寄る。
写真立てが宙を舞った――。
私にはその様がスロモーションのように見えた。