Ｊewel Ｂox

「俺？ 俺は木崎 漣っ！ 東校の高校2年生」


少年――木崎 漣（ｷｻﾞｷ ﾚﾝ）は相変わらずニコニコ顔であたしの次の返答を待っている。



「ふーん……。東校か。頭いいんだね」


「えっ！ いや全然！ 俺、テニスの推薦で入ったんだ！ 頭は元々悪いからついていけないんだ」


少しはにかむ彼。


あたしは何をしてるんだろう。


こんな餓鬼の相手をして。まぁ餓鬼って言っても、あたしより10cmは大きい長身で筋肉もそれなりについているように見える。



ちなみにいかにもモテそうな顔。




「ふーん。あたしにはどうでもいいけど。あたし、忙しいからもう行く」



ベンチから立ち上がったところで彼に腕を掴まれる。


「ちょっと待ってよ」