猫又四郎の奇怪幻想見聞録
「まったく君は、冗談の通じない子供ですねえ。私のちょっとしたお遊びですよ、アレは」
「もっぺんいっとく?」
「よよよ、お隣さんに暴力を振るうのですね。これだから夕暮くんは」
ヤレヤレと首をすくめるお隣さんに、またもグーパンを喰らわす少年。
彼の名前は【夕暮 功河】(ゆうぐれ こうが)
故に、【夕暮れ少年】なのだ。
「ほら、子供は愛らしくアイスを食べて微笑んでいればいいんです」
「その見解もどうかと思うけど」
「まあまあ、子供は大人の言うことを素直に聞くものです」
「……子供扱いすんなよ」
「子供ですよ、君は。私から見れば、やんちゃで、口が悪くて、とにかく生意気なガキです」
「そういうテメェも大人には見えねえよ。第一、大人がそんなに偉いのか?子供に指図ばっかして、いざ自分たちはその子供以上に我が儘だ。
理不尽すぎる。こんな腐った世の中で生意気に、それこそグレても仕方ねえだろ」
「ハッキリ言いますねえ……。ああでも、それでも大人は、あなた(子供)を愛してる。
大切な存在なんですよ。そりゃあもう食べちゃいたいくらい」
「きもい」