猫又四郎の奇怪幻想見聞録
ふと、とあるページで手をとめる。
そこにある顔写真と、カウンターで眠っている女の子の顔が一致した。
「【野良 涼子】(のら りょうこ)か………あれ、僕と同じクラスだったのか」
思わぬ事実に驚声をあげつつも、【生徒名簿】を本棚に戻す。
ふと、本棚に新しい本を見つけた。
「【朱雨に鉛】ですか。成る程…………………。
ところで、僕の今いるこの世界をご覧になっている、読者の皆様。ああ、大丈夫です。世界観は壊していませんよ。
だって僕は、この世界とあなたたち読者様の世界の両方で生きているのですから。
ううん、そうですね。言うなれば、僕の知人である【夢猫】(むびょう)と僕の関係。それは同一人物に近しいですね。
ああでも、僕はあのボンクラと違ってちゃんと仕事してますから」
「何気酷いですよね。あなたの言葉って」
「おや、噂をすればなんとやら。こちらの世界には来ないはずでしたよね?夢」
「【夢】なんていうあだ名を呼んでいいのはミチルだけですうー」
「ミチルさんですか。あの方を知らない人も多いと思いますが……」
「そ、それは前作【気まぐれ作品置き場】をご覧になってくれればっ」