猫又四郎の奇怪幻想見聞録
涙目になる愚弄人に対して溜め息をつく。つきたくもなる。
「嘘に決まってるでしょう。僕の持っている本は全てあなたからのモノ。
これは、あなたの本なんですよ」
「いやだから書いた覚えなんて、」
「阿呆ですかあなたは。あなたの書いた本ではなく、あなたが持つべき本。
だから、あなたの本」
「はあ」
よくわかっていない愚弄人は頬を掻きながら、また一口紅茶を含んだ。
「で、」愚弄人が脇に立つ僕に視線だけを向け、紅茶カップを口につけたまま言う。