猫又四郎の奇怪幻想見聞録
「その本をくれる意図は?」
「……気まぐれです」
「ぶはっ!やっぱあなたと私は同じなんですねえ。『気まぐれ』だなんて言葉、私たちにピッタリじゃないですか」
「それこそ、前作らしくですよ」
「へーへー。……で、語り手である四郎くんが読み聞かせてくれると」
にやり、笑う愚弄人が視線だけで催促してくる。
仕方がない。
今回だけは、特別ですからね。
「とか言って、また読み聞かせてくれるくせに。というか、それが四郎の存在意義なんですから、ね」
「……人の思考を勝手に読まないでください。悪趣味です」
「そりゃあ、無理な話。だって、あなたはここの管理人で、私はここの創作者なんですから」
意地の悪い笑みを浮かべる愚弄人には、やはり敵わない。