猫又四郎の奇怪幻想見聞録

ところ変わって。

僕たちは紅葉で色づく森の中にいる。理由は『あのジジ臭せえ奴と一緒にいられっかよう!』と能九さんが家を飛び出したから。


本当は東雲(しののめ)さんも……ああ、ちなみに能九さんの言う『ジジ臭せえ奴』とは東雲さんのことです。


東雲さんは少し古風な口調ですからね。その良さが分からない能九さんは、僕より年上だというのに……。

無知な子供然りです。



「……おま、今すっげえシツレーなこと考えてただろ」


「いえいえ、能九さんは僕の大切な“お友達”ですよ? 侮辱するわけないじゃないですかー(後半棒読み)」


「てめっ、その『()』は何だよ、おいっ! つーか、皮肉屋のテメェがなあーに一丁前なこと言ってんだ、ええ?」


「一丁前だなんて。能九さんの誉め言葉はいつも直球ですね」


「誉めてねぇえええええええっ!」

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