猫又四郎の奇怪幻想見聞録
紅葉で色づく森の中は、どうも落ち着く。……はずなのに。
「どうしてまた僕の所へ来たんですか、【迷蓮】(めいれん)」
「………。」
ガサリと音をたてて出てきた小柄な子供。僕も小柄な方ですが、この子は更に小さい。
ひょっとこ面に手拭いでほっかむり。
白装束ならぬ黒装束に身をつつみ、長いサラサラの黒髪は白い紐で低く一括りにされている。
ふざけた平安人のようだ。
ああそういえばと。この子は無口だったことを思い出す。
ならばと腰を低くし目を合わせ。